[お客様のこと、考えてる??] お店都合が招く大きすぎる代償

nicccyの「BAR屋」論

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

突然ですが、これまでの人生の中で、「このお店、めちゃくちゃ良かった!!もう一回行きたい!!」と心から思えたお店ってありますか??

(※ここでいう「お店」は、飲食店全般を指しているとします。居酒屋、ダイニング、カフェ、バーなどが対象です)

 

 

たとえば、「料理がめちゃくちゃ美味しかった!!」「とにかくオシャレだった!!」「店員さんがステキだった!!」などの感想が生まれて、お店を出たあとに「このお店、めちゃくちゃ良かった!!もう一回行きたい!!」と心から思えたお店。

 

 

ひとつくらいはありますよね?もしかしたらたくさんある方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

でですよ、今回お聞きしたいのはそんなハッピーなお話じゃなくてですね、「次は別にここじゃなくてもいいかな・・」「ま、機会があれば来るけど、わざわざ狙って来ることはないかな・・・」って思えたお店についてです。

 

 

ぶっちゃけ、だれしもがめちゃくちゃあると思います。でも、思い出せなくないですか?「あのお店、良くなかったなー・・・」ってお店ほど、さっと記憶の中から引き出すことって難しいんです。つまり、「お客様にとっては自分の人生にはなんの関係ないどうでもいいお店だってことです。

 

 

そして、「お客様にとっては自分の人生にはなんの関係ないどうでもいいお店という立ち位置になってしまうお店のほとんどが抱えている課題がひとつございます。それが、

 

 

「お店都合にて営業していること」です。

 

 

「お店都合」。具体的に言うとですね、

 

 

 

トイレが一つしかない(ex.混んでる時になかなか空いていない。女性は行きづらい)

テーブルのサイズとお皿のサイズが合っていない(ex.ただただ邪魔or小さすぎて取り分けづらい)

値段と商品の価値が見合ってるように感じない(ex.グラスが小さすぎる、量が少なすぎる、端的にしょぼく感じる)

となりのお客様との間隔が狭すぎる(ex.圧迫感、会話が聞かれまくってる気がする)

スタッフの人数が足りていない(ex.呼んでもだれも来てくれない、商品がこない、お会計がこない)

 

 

 

などなど、挙げればキリがないんですけど、どれもこれもお客様目線が大きく抜けていると思いますよね?もし営業している側の人間が、お客様として自分のお店に行った時になんとも思わないのか不思議にさえ思えるほどです。

(※業態によっては「”あえて”そうしてる」って場合もあります。その場合は良いんです。たとえば、雑多な雰囲気をウリにしている居酒屋さんとか、ママがひとりで切り盛りしているスナックとか)

 

 

営業している側の人間は、自分のお店が「お店都合」になっている箇所を見つけることは極めて難しいんです。それは、毎日同じ空間にいると、それがスタンダードになってしまうからです。つまり、「お客様目線でモノを考える脳は日々失われていく」ってことです。「住めば都」って感じですかね。

 

 

で、流行ってるお店って、お客様目線でお店作りをしています。ものすごく当たり前のことを言ってるように感じる方も多いでしょう。ただ、お客様目線でお店作りをすることはカンタンなようで実は難易度が高い。それは、「お店側の欲を捨てて、お客様の欲を満たすことに注力しなければいけないから」です。

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たとえば、美味しいコーヒーを提供しようとすれば、「値段はどうしよ?」「カップはどうしよ?」「原価率の設定は?」などをお店側は考えます。この場合、お店都合で行くのであれば、「値段は高く、カップは小さく、そうすれば原価率は低くなるので儲けがたくさん出る」という考え方がひとつ生まれます。

 

 

ですが、お客様を「値段は高い、カップは小さい、味は美味しい」で満足、いや、感動させようとするのであれば、お店側はかなりの努力がする必要があります。

 

 

どれだけオシャレな店内にできるか。

どれだけサービスを行き届かせられるか。

どれだけキレイで居心地の良い空間にできるか。

 

 

これ、文面で見るとそんな難しくなさそうに思えるかもしれないですけど、めちゃくちゃ難題です。「テーブル、椅子はこれでいいのか」「メニュー表のサイズ、デザインはこれでいいのか」「空調、BGMはこれでいいのか」「トイレのレイアウトはこれでいいのか」などなど、お客様から圧倒的に選ばれるお店にするためには、細かすぎるほどにお店全体をチェックする必要があります。しかも毎日

 

 

快適な空間作りはちゃちゃっと作れるものじゃないので。

 

 

ね?こう考えると、「お客様から圧倒的に選ばれるお店にするためには、細かすぎるほどにお店全体をチェックする必要があります。しかも毎日」ということを徹底できているお店がどれほど少ないことか。

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先日、ひとりでとあるブリティッシュパブへ行ってきました。僕の師匠や尊敬する店長が働いているパブなんですけど、このご時世の中、ビビるくらいに混んでたんですよ。ホントビックリしました。その理由は店内を眺め、メニューを眺め、店員さんを眺めていたらすぐにわかりました。

 

 

ますはしっかりと「消毒、検温、喚起」をシステム化していたんです、しかもコロナが流行り始めた春頃からずっと。

ほかのお客様との距離もバッチリ。5名以上の団体様は入店不可。

メニューは希少価値の高い商品がズラリ。圧倒的ラインナップ。

 

 

 

そしてなにより、店長さんがお客様目線のプロなんです

 

 

目先の売り上げはもちろん大事です。でも、こんなご時世だからこそ「お客様からの信用」を優先しているんです。「『ここに来たい!!』と思ってもらうためにできることはすべてやっているつもり!!」と公言するその姿には、神々しささえ感じたほどです。

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お店都合が招く大きすぎる代償。それは、「お客様からなんとも思われないこと。記憶されないこと」です。

 

 

僕はそのへん、理解している方だと思っていましたが、ちょっぴし反省しました。パブの店長さんの方が数段上の考えと実行力を兼ね備えていたので。

 

 

おわり。

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yuki_nicccy

札幌の「BAR PENCIL VANI;LLA」代表。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。