僕が深くお酒の話をカウンターでしない理由

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

「バーテンダーとお客様がカウンター越しで話している」

 

 

ドラマや映画のワンシーンなんかで見たことがある方も多いのではないでしょうか。じゃあバーテンダーとお客様は具体的にどんな会話を繰り広げているのでしょう。たとえば、「さまざまなウイスキーの話」「さまざまなカクテルの種類の話」なんてイメージの方もいらっしゃるかと思います。そうです。つまり、大まかなくくりで言うと「お酒に関係する話」ってことです。そして実際に現場に立っている現役バーテンダーの僕も「お酒に関係する話」はバーテンダーとお客様が交わす会話の中でも非常に割合が多いと感じています。

 

 

でーすーが。僕はカウンターに座っているお客様との会話の中でお酒についてのはあまり触れません。もちろん、ご提供したお酒の説明は軽くしますよ。ほんと軽くですけどね。そこから掘り下げてより詳しい説明にまで至ることは滅多にないんです。

 

 

ってことで今回は現役バーテンダーの僕が「なぜ深くお酒の話をカウンターでしないのか」について語ります。そこに隠れている理由とはいったい何なのか!?ではさっそく!

 

 

僕が深くお酒の話をカウンターでしない理由


 

 

 

僕が深くお酒の話をカウンターでしない理由。それは「お客様からしたら別に面白くない」からです。

 

 

どういうことかと言いますと、今手元にあるお酒に関してお客様が欲している情報は「味」「度数」「原料」くらいなもんだからです。つまり、「どんなお酒かざっくり知れればそれでいい」ってことですお酒の話的には相当浅い内容ですが逆にそのくらいがちょうどいいんですよ。深く掘り下げてそのお酒がいつどこでなぜ生まれたのか、どのような作り方をしてどのようにすれば美味しくできるのかなんてお客様はぜんぜん興味がないし、バーテンダーが語れば語るほどなんだか崇高な飲み物な気がしてきてスイスイ飲んだらダメな雰囲気にさえなってしまいます。何よりバーテンダーの話を聞いているうちに飲み物が温くなります笑。

 

 

あれこれ長ったらくお酒について語るバーテンダーは自分勝手にしゃべってることがほとんどです。もしあなたがバーでお酒を飲む理由を聞かれたとしたらなんて答えますか?「お酒の勉強がしたいのでバーに来ました!」って答えますか?このような答えをするお客様は将来バーテンダーを目指している人か本当にお酒自体に興味がある人だけです。そして、お客様のほとんどがバーテンダーを目指していないしお酒自体に興味があるわけではないです。娯楽の一環として、お酒を飲むことを楽しみにバーに来ているんです。つまり「お酒の話を聞くことを楽しみに来ているお客様は極めて少数である」ということです。

 

 

ですけど、人って本能的に「自分が知っている話を誰かに聞いてもらいたい性質を持っている生き物」です。だから”バーに来るお客様=お酒の話に興味津々”みたいな方程式を勝手に作り上げているバーテンダーもなかにはいます。だからついついお酒のこだわりとか秘話とか歴史とかをお客様から聞かれたわけでもないのにペラペラ話し始めちゃう。そしてお客様は「いつまで続くのかな、この話・・」なんて心の中でぼやくわけです。(個人的実話が元ネタです)

 

 

たとえばもしカフェに行ってものすごく珈琲に対する愛に溢れている店員さんが3分も4分も「ご注文いただいた珈琲はとても上品な味でですね、なぜかというと・・・」なんて話をしてきたらどうですか?素敵な店員さんだとは思いながらも、ぶっちゃけうざくないですか?「まだ続くの?」って思いますよね?「早く新しく買った本を読みたいのに!」とか心の中でぼやいちゃいますよね?

 

 

語りたがりなバーテンダーはただのエゴです。知ってますアピールです。「凄いですね!」って言われたいんです。本当にお客様から褒められたかったらやるべきことはひとつです。それは「お客様が最高に楽しめるような会話をすること」です。それがお酒の話ならお酒の話をすればいいでしょうし、好きな音楽の話や恋愛相談であれば上手にお客様から話を引き出して、そして思う存分語っていただけばいいんです。

 

 

まとめ

 

 

 

僕が深くお酒の話をあまりカウンターでしない理由についてお話させていただきました。

 

 

お酒の話って基本的に「お客様からしたら別に面白くない」からバーテンダー側から必要以上に広げる意味ってないんですよ。お客様からすればぜんぜん興味のない話をお酒の場で長々と聞かされるだけです。単純に「うざい!」「長い!」「なにこの空気読めないバーテンダー!」と思われるのがオチです。

 

 

何事もそうですが、知りたいことや興味があることに関してはお客様側から何かしらのアクションがあります。質問してくれる方もいますし、質問する勇気がない方は何度もメニュー表を眺めたりバックバーを凝視したりしています。そういう時にだけ今まで勉強してきた知識や経験を話せばいいんです。ペラペラ必要以上に垂れ流す必要なんてないんです。あくまでお客様がバーをいちばん楽しめるようにあれこれ目を配り、気を配り、心を配るのがバーテンダーのお仕事です。

 

 

おわり。

 

 

 

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yuki_nicccy

札幌の「BAR PENCIL VANI;LLA」代表。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。