[履歴書なんてどうでもいい!]僕が「採用!」と決めるたったひとつの判断基準

nicccyの「BAR屋」論

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

僕が働いているバーは席数約30席の中規模バーです。30席あり、大きな広告も打ち出している、しかも創業35年の歴史を持つ老舗、生演奏で音楽が聴ける、そして店長が僕という強み(←知らねーよって声は聞こえません)を生かした営業が功を奏いて、毎日たくさんの常連様+興味を持ってくださった新規のお客様のご来店でたのしい日々を過ごすことができています。

 

 

このようなバーはもちろん僕ひとりの力で素敵な営業なんてできるはずもなく、現在は4人の心通ったメンバーと一緒に運営をしています。ですが同じメンバーで半永久的に働くことなんて当然できないわけで、今まで何十人ものメンバーとの別れを経験してきました。学生は卒業を機に次のステージへ、社員だった子はわけあって別の業界へ、高級バーへステップアップを図った子もいましたし、けんか別れした子もいました。そして新しいメンバーを招き入れて新体制で営業を始めます。この繰り返しです。

 

 

じゃあ新しいメンバーを招き入れる時にいったい何を基準として採用を決めているのか。僕には今まで数々のメンバーと仕事をしてきた経験から採用に関してたったひとつの判断基準を持ち合わせています。しかもこの判断基準をもとに新しく招き入れたメンバーはほぼ全員お店の力になってくれ、お客様へのサービス向上に繋がったと自信をもって言えます。

 

 

今回は弊社面接担当の経験と、直接「ここで働きたいです!」と何度もお願いされてきた経験がある現役バーテンダーの僕が持っている「採用!」と決めるたったひとつの判断基準についてお話させていただきます。世の中の人事担当の方や飲食店店長の方にぜひ一読していただいて参考になる部分があればいいなと願っております。では!

 

 

[履歴書なんてどうでもいい!]僕が「採用!」と決めるたったひとつの判断基準

僕が「採用!」と決めるたったひとつの判断基準は「会話した時の印象」です。もちろん履歴書には目は通しますが一ミリも採用に関する評価には繋げません。せっかく書いてきてくれたから一応見る程度です。極論、志望動機の欄が空白でも別に気にしないです。

 

 

「会話した時の印象」と言われても抽象的過ぎてわかりづらいかと思いますので、今まで採用してきた子を例にお話させていただきます。

 

 

たとえば、今僕と一緒に働いているSちゃん。19歳女子。18歳で採用したので19歳にして既にバーテンダー歴2年という肩書を持っている子です。Sちゃんは面接のとき、ゴリゴリにピアスをつけてきて、そして18歳ということもあり僕に対してがんばって敬語を吐き出しているといった感じでした。そのときSちゃんは、「バーで働いてみたい!」「でもピアスをして働きたい!」「自分らしい格好で現場に立ちたい!」といった旨を伝えてきました。ちなみに僕が働いているバーはピアスの着用はNGですし制服も用意されています。Sちゃんがカウンターに立ってさまざまなお客様とたのしそうに過ごす絵もそのときはすぐに想像できませんでした。

 

 

ですが、僕は思いました。

 

 

僕:「18歳であれだけ流暢に自分のことが話せて、しかもしっかり目も合わせてきた。きっと現場に慣れたらお客様からの人気も出るだろうし何より本人が勝手に覚醒しそう!」

 

 

 

ですがSちゃんの働きたいバーはきっとうちみたいな感じのバーじゃないんだろうな、でもここで落とすのはもったいない・・逸材感がハンパないんだから。そこで僕はひとつこんな提案をしました。

 

 

僕:「たぶんうちのバーよりSちゃんが働きたいイメージのバーがあるから、そこの店長に聞いてみるね!」

 

Sちゃん:「え?いいんですか?ありがとうございます!」

 

僕:(「お!こんなありえない提案を受け入れた!逸材確定!」

 

 

 

捨てるくらいなら知り合いに渡す。

そんな気持ちになったのでダメもとで知り合いの店長に連絡をしてみました。結果、メンバーの枠が空いてなかったのでこの話はボツになったんですけど。

 

 

そして後日。その旨を伝えるとともに僕はまたひとつの提案をSちゃんにしました。

 

 

僕:「こんにちは!先日はありがとうございました!申し訳ないです、この前のバーの話はボツになってしまいました・・。だけど、もしよかったら一緒に働いてみない?希望しているような感じで働くことはできないかもだけどそれでもよかったらなと思って!

 

 

ダメ元でLINEしたので既読スルーでもしょうがないかなと思っていたんですけど、面接のときにたくさん会話をして関係性を柔らかくしておいたので返信が来る自信もありました。結果、すぐにSちゃんから返信がきました。

 

 

Sちゃん:「ありがとうございます!ぜひ働きたいです!」

 

 

ってことでめでたく僕と一緒に働くことになりました。この時はホントに嬉しかったですね、だって自分の中で逸材だと確定した若手と一緒に組むことができたんですから。現在Sちゃんはほぼすべてのカクテルを作ることができ、ほぼすべての調理もできるようになり、30席のテーブル席のサービス全般をひとりでニコニコしながら完璧にやってくれています。惚れ惚れ。

 

 


こんな感じで説明をし続けると膨大な長さになってしまうそうなので笑、もうちょい簡潔に具体例をお話していくことにします。僕が思う「会話した時の印象」が良かったと感じた子は以下のようなタイプです。

 

 

・壮大な夢を少しだけ照れくさそうに話してくれた子

・働きたい理由が「お金を稼ぐため」と包み隠さずに話してくれた子

・過去の経歴をさらっとじゃなくて詳しく話してくれた子

・過去の職場のことを赤裸々に話してくれた子

・「ありがとうございます!」を何回も言っちゃう子

 

 

まとめ

[履歴書なんてどうでもいい!]僕が「採用!」と決めるたったひとつの判断基準についてお話させていただきました。

 

 

僕が「採用!」と決めるたったひとつの判断基準は「会話した時の印象」です。

 

 

バーは特に人と人との繋がりが色濃く表れる仕事です。なので「人間味が薄く、業務をただただ効率的にこなすタイプ」の子は正直バーテンダーには向いていないです。お客様はそんな業務的な対応じゃぜんぜん面白くないでしょうし、本人もお客様と会話することに楽しみを見いだせないのではないかと思います。

 

 

新しいメンバーを採用するとき、それはすでに業務的にもお店の顔としても頑張ってくれたメンバーが抜けた時です。店長的には結構な痛手で、戦力的にも手薄になるし、何より営業する上でも最低人数でサービスをしなければならない日も出てきます。そこで多くの業界ではとりあえず採用募集をかけてそこにエントリーしてきてくれた子をどんどん採用していくわけです。僕はこの「どんどん採用していく」スタイルがぜんぜん好きじゃないんですよね。だってどんなにお店が円滑に回ったとしてもそこにファンは生まれるのかって話なんですよ。バーのいちばん商品は「人」です。ビールやウイスキーなんてぶっちゃけどこで飲んでもそのもの自体の味は一緒ですよね?そのビールやウイスキーの味をお客様からちょっとだけ高い金額をいただいてどう美味しく飲んでもらえるかといえば、それはそのバーで働く「人」が作り出す空間やサービスでしかないんです。家でひとり飲む缶ビールと仲間と一緒にバーベキューをしながら飲むビールは美味しさがぜんぜん違うのと理屈は一緒です。

 

 

バーは「人」が作るもの。だったらその「人」に求めること、それは「人間味」なのではないかと思います。採用を決める時はその点を重視していますって話でした。

 

 

おわり。

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yuki_nicccy

札幌の「BAR PENCIL VANI;LLA」代表。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。