[一枚ずつ丁寧に・・]BAR屋がお客様のお手元に届けるべきお手紙について

Writing letter to a friend. Selective focus and shallow depth of field.
nicccyの「BAR屋」論

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

新聞には数えきれないくらいの折り込みチラシが入っています。

ポストを開けたら数えきれないくらいのチラシが入っています。

朝、スマホを開くと数えきれないくらいのメールが届いています。

 

 

これらの目的はただひとつ。「営業」です。

 

 

スーパーのチラシには「今週は○○が3割引き!」と書いてあります。

デリバリーピザのチラシには「春の新商品ができました!」と書いてあります。

メールには「今だけ20%オフです!ご購入はお早めに!」と書いてあります。

 

 

どれも「営業」です。確かにお客様にお得な情報を伝えたら買いに来てくれたり、注文をしてくれたりする可能性が上がりますので商売という観点で考えたらチラシやメールを配布することは理にかなっていますよね。お店側は売り上げが上がる。お客様は安くモノを手に入れることができるし新商品をいち早く楽しめるわけですから。

 

 

じゃあ、僕の仕事である「BAR屋」はいったいどんなチラシやメールをすればお客様は喜んでくれるのか。当然、「今月は全品半額です!」なんてチラシやメールを配ればお客様は殺到するかもしれません。「ご来店のお客様全員にシャンパン1本をお持ち帰りしてもらいます!」なんてチラシやメールを配ってもお客様は殺到するかもしれません。

 

 

ただ、僕に今まで良くしてくださったお客様はみんな上記のようなお金に関する情報を書いたお手紙をお送りしても別にたいして喜んでくれない方ばかりです。

 

 

「じゃあ、お客様に届けるお手紙っていったい何のために書くの?」

 

 

お手紙について、「お手紙って何か意味あるのかな?」「お客様は読んで喜んでくれるのかな?」って考えてみた時期が何年か前にありました。そして今、僕が導き出した「BAR屋のお手紙理論」があります。今回はそんなお話を。BAR屋がお客様のお手元に届けるべきお手紙について。

 

 

[一枚ずつ丁寧に・・]BAR屋がお客様のお手元に届けるべきお手紙について

↑実際に僕が書いたお手紙の一部

BAR屋である僕が思う「お客様のお手元に届けるべきお手紙」のあり方。それは「定期的にごあいさつをさせていただくため」です。

 

 

あいさつって大切ですよね?朝、気持ちよく「おはよう!」って言われたらなんだかテンションが上がるし、仕事終わりの「お疲れさまです!」もなんだか気持ちいい。何も言ってこない人なんて気分が悪くなるだけだし、もう絡みたくもないなって思うはずです。

 

 

お客様に届けるお手紙も一緒で、大切なお客様に対してずーっと連絡のひとつもしないなんて、よーく考えたら失礼な話なんですよ。「お元気ですか?」だけでもいいので何かこちらからアクションを起こさないと。じゃなければ気付いた時にはお客様の中から僕もお店もなくなる、忘れられちゃうのがオチです。そう、日常のあいさつと違って、お客様は僕がアクションを起こさなければ気持ち良くも気分が悪くもならない。ただ僕のことを忘れていくだけ。

 

 

でも、しょっちゅうお手紙を送るのもお客様からすればやや迷惑なんじゃないかなって思うんです。僕の手紙を読む時間をお客様は自分の時間を割いて作ってくれるんですから。その価値が僕の手紙にあるかどうかって話です。うん、ない、たまにだからきっと良い笑。

 

 

たとえば、デリバリーピザのチラシは月に一回は必ず入ってるじゃないですか、「新作できました!」みたいな内容の。あれってぶっちゃけ要らなくないですか?別にお客様へのあいさつ的な要素はないし(ただの印刷物なんで)、もしデリバリーピザのファンであればアプリをインストールして最新情報をチェックしたり、サイトから最新の情報がスマホに届くように設定してるはずですから。ま、本音は「このご時世にチラシからの集客なんて厳しい。宣伝費回収できないでしょ!」って思ってるわけなんですがね。

 

 

「季節毎に一枚、丁寧に手紙を書く」

これに尽きる。

 

 

で、僕がお客様に書く手紙には一切の特典要素は書きません。たとえば「○○%オフ」とか「○○が無料」とか。つまり、僕の手紙にはお客様が金銭的に得をする価値はないってことです。

 

 

ただ、それでいいんです。バーにいらっしゃるお客様はお金のことなんて別に気にしてないので。それはお店への愛であったり、働いているスタッフへの愛であったり、お連れ様と過ごす素敵な時間のためであったり、自分へのご褒美だったりするからです。あ、だからといってめちゃくちゃ高い金額に設定したらそりゃ誰も来なくなりますよ?笑そのくらいはわかってるつもりです。

 

 

逆に、チャージ料がかかるようなバーのお客様に対して、「今月ご来店のお客様は全員お会計から10%値引きさせていただきます!」なんてお手紙を届けたら死ぬほど失礼です。これがバーの面白いとこ。バーにいらっしゃるお客様は「安いから行く」とかそんな思考は持ってないんですよ。「行きたいから行く」んです。お店側から「来てください!」なんて言っちゃうのはホントにダサいことで、ちゃんとお客様のカッコが付くようにしなきゃいけないと思うんです。だとしたらクーポン的なものをつけたお手紙を出すなんて舐めてますね、お客様のことを。

 

 

お金じゃない部分で自分を選んでもらうこと」

 

 

お金以外の部分で勝負をするということはかなりの重労働を意味します。勝負の軸が「人間性」になるので。自分はお客様にどれだけの価値を提供できる人間なのか。僕が提供した商品に値段を付けた時にその値段がお客様にとって高くないか。なんて考えるとやらなきゃいけないこと、僕自身が進化し続けるべきことが山ほどあるわけです。

 

 

お金で解決した方がどれだけ手っ取り早いことか。だからいつも街中では価格競争が起こる。そこに人間性なんて必要ないんで。

 

 

お金でお客様を釣る方法なら誰だってできるんですよ。じゃあその海の中に飛び込みたいかって話で、僕はそんな海に飛び込まないで、隣の会員制プールで泳ぎたいタイプ。でも会員制だから誰でも泳ぐことはできない。会員になれる身分にならなければいけない。つまり、「その他大勢と一緒のことをしていてはダメ」ってことです。

 

 

お金で繋がっている関係は切れやすい。

信用で繋がっている関係は切れづらい。

 

 

定期的にあいさつをするだけで信用は得ることができます。断言します。だって他のバー業界の人たちはぜんぜんあいさつしてないですからね。「〇周年を迎えることができました!」みたいな時にしか基本はお手紙なんて書いてない。つまり、「お祝いしてほしい時にしかあいさつしない自分勝手なお店」ってことです。

 

 

僕はそんなご都合主義な人間じゃないので、ちゃんと定期的にごあいさつをしてますってだけ。ちゃんと一枚一枚手書きでね。印刷なんてしません。売ってるオシャレなデザインのハガキも買いません。すべて自分の手で作ります。それがマイルール。

 

 

おわり。

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yuki_nicccy

札幌の「BAR PENCIL VANI;LLA」代表。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。