[仕事中だけじゃ足りないよ?] お客様をもっと自分のファンにする方法

人気「BAR屋」になるには??

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

BAR屋はひとりひとりのお客様をファンにしていくことが生きてく上でいちばん必要な仕事です。お酒に詳しかったり、所作の美しさだったり、トークの流暢さでファンになっていただくことが基本ではあるんですけど、あくまでこれらは武器であって、この武器を上手に使いこなしながらお客様の心の奥に深く刺さっていくことがとても大切です。

 

 

シンプルに「ここのお店のファンです!」「あなたのファンです!」くらいのお客様だったらわりと自分次第でどうとでもなります。お客様のために誠心誠意サービスをすればけっこうな確率でファンにはなってくれますんで。ただ、そのファンであるお客様はまだまだ太い縄で繋がっている関係ではない、浮気はしょっちゅう、何かのきっかけで縁が切れることだってざらにあります。

 

 

BAR屋の営業時間だけで太い縄で繋がれるような根強いファンを作ることができる人はそれはそれは稀で、僕みたいな雑草タイプの人間はそんな才能ある人間には到底勝てる見込みなんてこれっぽっちもないので、才能以外のところでなにか策を打たないと完敗人生を歩むことになります。そこで、現役BAR屋14年目の僕が地道に行ってきたひとつの大切な習慣があります。イケメンでもない、突き抜けた知識や技術もない、お笑い芸人みたいな面白いトークもできない僕でも、ずーっとあしげなく通ってくださるお客様がたくさんいる、それはなぜか。ちょっと聞いてあげてください。昨夜もそんな日だったのでなんだかまだワクワクした状態でお話しさせていただきます。

 

 

[仕事中だけじゃ足りないよ?] お客様をもっと自分のファンにする方法

お客様をもっと自分のファンにする方法、それは「仕事終わりにふだんあまりしない話を恥ずかしがらずにすること」です。

 

 

ふだんしない話。難しいですね、だいたいカウンター越しに交わす会話の中である程度の会話のトピックは使われてしまっているので。趣味の話だったり、好きな音楽や映画の話、もちろんバーなのでお酒の話なんかもトピックのうちのひとつです。

 

 

じゃあ、いったいふだんしない話ってなんなんでしょう。僕が出した答えは「人生哲学」です。自分の頭の中をスケルトンにして晒すんです。嘘は一切なし、赤裸々に自分の言葉で話すことがポイントです。

 

 

たとえば、昨夜の話を例にしてご説明します。昨夜は昔から付き合いのある40代男性が珍しく深夜帯にお店にいらっしゃったんです。今までゆっくりお話しする時間はもちろん営業時間内。LINEも知らないから連絡も取れない。ま、楽しくお話させていただいて、お酒を提供して、お客様が「チェックで!」とおっしゃったらお会計です。ま、飲食店では当たり前の流れですね。

 

 

ただ、珍しく閉店時間までそのお客様はいてくれた。しかもあしたは休みというじゃないですか。そこで僕はひとこと声を掛けました。

 

 

僕:「よし!お客様も全員帰られたことですし、乾杯しますか!!」

 

 

はい、お客様からすれば延長戦の始まりを告げるゴングです。さいごに頼んだ一杯を飲み干したら帰る予定を見事に僕がぶち壊す瞬間。ただ、ここで「いや、帰ります!」と行って帰るお客様は0人です。はい、完全に0人なんです。これ、どういうことかわかります?つまり、お客様は営業時間が終ったあとのバーに興味津々だってことです。

 

 

お客様が興味津々なことをやらない理由なんて僕にはひとつもなくて、お求めなら心して乾杯させていただきますって話ですよ。そして、ネクタイを外してリラックスモードに入った僕との延長戦が始まるわけです。あ、ただ僕が飲みたいって理由がいちばんだってことはこの際気になさらないでください。

 

 

この時間に僕が話すこと、それは「僕の仕事論や人生哲学」です。もともとお店のファンのお客様からすれば、そのお店のプレイヤーである人間の話はぜひ聞いてみたいものです。好きなバンドのメンバーからアルバムの制作秘話を聞いてみたい気持ちと一緒です。そして何より、バーにいらっしゃるお客様はみんなして仕事人間が多い、つまり、内容のないバカげた話よりもビジネスに関する話や仕事人の脳内に関心があるってことです

 

 

この時間に僕は「BAR屋としての心構え」「店舗運営において大切にしていること」「仲間の良いところ」なんかを話します。営業中にも似たような話をすることもあるっちゃあるんですけど、営業中は他のお客様もいらっしゃいますし、業務もあるので熱っぽく話すことはなかなかできない、でも延長戦の時間は話に集中できるので熱っぽく話すことができます。

 

 

仕事論や人生哲学を語る時にだけ、僕は噛まずにスラスラと言葉を繋ぐことができます。自分で言うのもなんですけど、考えがまとまってるんでしょうね、じゃなかったら途切れ途切れになってしまうはずなので。あ、生きててずっと解決してない悩みがあって、それは女の子と話すときになぜこうやってスラスラと話せないんでしょうってこと。特効薬、どっかで売ってます?

 

 

どのような考えで、どのようなスタイルでバーというくじ空間をプロデュースしているのか。

どのような考えで、どのよなスタイルで商品の価値を定義しているのか。

どのような考えで、どのようなスタイルでメンバーと息を合わせているのか。

お客様、特にいつも通ってくださっているファンの方々はみんなお店に関するあれやこれやを深く知りたがっています。そして、お客様が知りたがってることをプレイヤー側がしっかり伝えることにはそれはそれは多大なる価値があるんです。何を考えてるか、何を思っているのかわからない場所なんて信用できませんからね。

 

 

延長戦を経験したお客様はみなさま口を揃えてこうおっしゃります。

 

 

お客様:「ちゃんと考えてるんだね!」

と。

 

 

「そりゃ考えてるっちゅうねん!」とツッコミを入れたくもなりますが、どんなに考えてても相手が知らなきゃ考えてないのと一緒なんですよ。口に出したり、文面で発表したりしないとただの独り言。なのになかなか自らを曝け出すことに積極的な人っていないんです。だからこそ僕は言葉にして伝えたい、そしてよりクリアな環境で言葉を伝えることができる場所、それが営業終わりのバーなんです。

 

 

お客様をもっと自分のファンにする方法、それは「仕事終わりにふだんあまりしない話を恥ずかしがらずにすること」です。ひとりのファンをより自分の虜にするためだったら仕事終わりの一時間や二時間くらいファンの方に捧げるべきです。

 

 

おわり。

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yuki_nicccy

札幌の「BAR PENCIL VANI;LLA」代表。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。