お客様は「会えるサプリメント」

「BAR屋」という仕事の魅力

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

僕は今までなにか悩みを抱えてしまった時や体調が悪い時、特に何もないけど情緒が安定しない時が定期的にやってきてそのたびにぜんぜんテンションが上がらなくて「もっと前向け自分!」なんて心の中で自分に叱咤することがあります。それでもなかなかすぐに気持ちを転換できるような性格でもないので「このまま引きづったら嫌だなーなんとかしなきゃなー」とまた延長線上の悩みが登場してきてエンドレスループみたいな状態になったりします。もう打つ手なし、あとは時間が解決してくれるでしょって感じで諦めムードが漂い始めるんですけど、実はこういった時期が3日以上続いたことがないんですよね。ぜんぜん長引かない、気付けばいつもの自分に戻ってるんです。

 

 

それは自分の力でなんとか気持ちを前に向けることができたわけでもないし、時間が解決してくれたわけでもない。すべてはお客様と何気ない会話を繰り返しているうちに「なんかもういいや!考えるのやーめたっ!」スイッチが押されるんです。

 

 

いつも僕の人生を手助けしてくれたものの正体はお客様だったんです。これ、嘘偽りなく事実。人の悩みって誰かに話した時点で半分は解決するってよく言うんですけど、別に僕がお客様に「さいきん○○で悩んでて・・」とか「なんか気持ちが沈んでて・・」なんて相談をしてるわけじゃないんですよ。いつものように変わりない姿っぽく変わりないっぽい会話をして変わりないっぽくお客様の背中を見送る。なのに1日の営業が終わった頃には「よし!飲みに行こう!」くらいのテンションまで復活を遂げているんです。不思議な力がありますよ、お客様と話すという行為は。てか酒場のお客様は基本的にみんな明るい、気さく、良い意味で適当笑。年下のお客様は若さを武器にノリノリでくだらない話をしてくれます。年上のお客様はいつも優しく接してくださいます。なのに急にジョークのひとつでもかませてくるからすぐ笑っちゃう。僕にもともと搭載されていない機能をお客様はたくさん持っているんです。

 

 

なので「お客様は”会えるサプリメント”」だと定義付けました。元気をくれる、気持ちに栄養を行き届かせてくれる、テンションを上げてくれる、そんな尊い存在であり抜群に効くサプリ。本当はバーテンダーである僕がお客様にとってのサプリであるべきなんですけど、それが逆になってる。いや、少しは僕もお客様にとってのサプリになっている自信はありますけど、自分がお客様から貰っている栄養と同じくらいに差し上げることができているのかというとまだまだかなーなんて思ったりもして。そしてこんなことを書いてあれこれ考えてる自分はきっと今日の夜にはおとなしくなっていて「よし!遊びに行くぞー!!」とかなってるんだろうな笑。

 

 


話は変わりますが、接客のお仕事をされている方は当たり前ですが毎日のようにさまざまなお客様と顔を合わせ、何かしらの言葉を交わし、そして感謝を伝えてお客様の背中を見送る生活を過ごしています。僕のようなバーテンダーはもちろんのこと、各飲食業の方、コンビニの店員さん、金融機関の窓口の方、漫画喫茶の受付の方などなど。そこでシンプルに接客に携わっている方々にひとつの質問を投げかけたいと思いました。それは、

 

 

「その生活、楽しめていますか?」

 

 

自分がサービスをする側で、そのサービスにお客様がお金を支払ってくれるから生活が成り立つという方程式はわかりますよね。で、その過程をサービスする側である人間がいったいどれだけ楽しめているかってことを知るための質問です。

 

 

さ、どうでしょう。すべての人に答えを聞きに行くわけにはいかないので完璧な回答は手に入れることができませんが、僕が見立てた結論はこうです。

 

 

「ぜんぜん楽しめていません」

 

 

中にはめちゃくちゃ楽しんでる人もいるとは思いますが、きっと多くの人が退屈をしているんじゃないかなって感じています。その理由は「お客様にサービスをしている時間が非常に短いのでお客様と深く関わることが難しいから」です。ファミレスの店員さんがお客様と言葉を交わす時間ってオーダーを受けて商品を出す時くらいですよね。コンビニの店員さんがお客様と言葉を交わす時間ってお会計を伝えてお釣りを渡す時くらいですよね。つまり、「お客様がどんな人かを知ることはなかなかできないし、その情報を得ることも難しい」ってことです。これじゃただの流れ作業でしかないので毎日の変化は生まれない、結果単調な日々なので面白くもなんともないってわけです。

 

 

「お客様は”会えるサプリメント”」だと体感するにはひとりのお客様と接する時間がある程度必要なんです。1分2分じゃ難しい。だとすればどんな仕事ならひとりのお客様と接する時間がある程度持つことができるのか。その基本回答となる仕事がバーテンダーだと思います。仕事中に栄養を注入する体験をご希望でしたらぜひバーへ足を運んでみてください。生き生きした人間がそこにはいるはずですよ。

 

 

っていうバーのステマでした。おわり。

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yuki_nicccy

札幌の「BAR PENCIL VANI;LLA」代表。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。