[BAR屋が先生!?]お客様が働いている学校から「先生しない?」って言われた話

nicccyの過去を赤裸々に晒す

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

BAR屋をしていると、お客様からいろいろな指導依頼をいただく機会があります。たとえば、「今度、カクテルの作り方教えてよ!」とか、「ワインってどうやって勉強したらいいの?」とか、「どうすれば知らない人と話が盛り上がるの?」とか。ですが、なかなか公の場で実現することはなくて、カウンター越しに「これはこうしたらいいですよ!」「まずはここから勉強すると早いですよ!」みたいな簡易な形で終わることがほとんどです。

 

 

そんな中、実際に公の場で「nicccy先生」として教壇に立った経験が二度ほどありまして、僕。そのうちの一回であります、「専門学校の特別講師として招かれた時の話」を今回はさせていただきます。

 

 

学校の授業なんてまともに聞いてこなかった僕が、一コマ「3時間」という長丁場を戦線側の立場でどう乗り切ったのか。では、さっそく!

 

 

[BAR屋が先生!?]お客様が働いている学校から「先生しない?」って言われた話

僕が専門学校の特別講師として招いていただいたきっかけ、それは以前から仲良くさせてもらっていたお客様が専門学校の先生で、その先生が僕に声を掛けてくださったことから始まりました。

 

 

お客様:「あのー、よかったらうちの学校で先生してみませんか?

僕:「先生ですか!?僕が!?」

お客様:「そうです!うちの課で”酒類概論”みたいな授業があるんですけど、その分野に詳しい先生がいなくて・・nicccyさんはその道のプロだからぜひやっていただきたいんです!」

僕:「ま、ま、マジですか!?」

 

 

専門学校で先生!?

この僕が!?

できる!?

しゃべれる!?

 

 

めちゃくちゃ不安が勝手に襲ってきました。だって、やったことないもん。初めてだもん。急にかわいくなってごめんだもん。ですが、名誉あるお誘いに僕は覚悟を決めたんです。

 

 

お客様:「お給料は、一コマ10,000円出ますので!」

 

 

この一言が決め手で。結局はお金ですかって。違うんですよ、さいしょは「なんも要らないです!」って言ったんですけど「そういうわけにはいかないんで・・」と言われたので。はい、ここのくだりおわり笑。

 

 

ということで、とんとん拍子で僕は初の「専門学校の特別講師」として教壇に立つことになりました。

 

 

ただ、その専門学校は「パティシエ」や「バリスタ」を育てる場所。BAR屋の僕が伝えられることってなんだろう・・・。

 


後日、授業のコマ決め担当の先生との打ち合わせがありました。その時にお会いした先生が、以前一緒に働いていた後輩の先生だったっていう奇跡的な出会いだったってのもまた世の巡りあわせ。BAR屋は世界の狭さをよう感じさせてくれますわ。

 

 

先生:酒類概論の授業は僕たちも初の試みなんですよ。なので、どういった内容にするべきか少し考えている段階ではあります。しかも生徒はみんな未成年。どう思いますか?」

僕:「なるほどですね!では、水やソフトドリンクについての話を中心にして、そのあとノンアルコールのカクテルを実際に作って見せるとかならできるかなと!」

先生:「それはいいですね!では、内容はお任せしますのでどうぞよろしくお願いします!

僕:「はい!こちらこそよろしくお願いします!」

 

 

この専門学校での初の試みに携わることができる喜び。遂にそんな大役が巡ってくるまでに成長したか自分・・長いようで短かったな。

 

 

なんて感慨深くなってる場合じゃない!笑

 

 

授業の内容は僕次第。

生徒が「楽しい!」と思える内容にしないときっと誰も聞いてくれない。

元”学生”の僕はその日からあれやこれやと話すべき授業内容を模索する日々が続きました。幸運だったのは、授業当日まで2週間ほどの時間があること。精査する余裕はいくらでもありました。

 


流れ流れていざ当日。先生デビューの日。知らない人の前でおおきな声を出して喋る日。朝から緊張した面持ちを隠せない僕、だってぜんぜん眠れなかったんですから。繊細な心の持ち主でしょ?笑どうか背中をさすってあげてください。

 

 

初日は午前午後の計2コマ。、翌日は午前の1コマ。休憩時間はあるにせよ、計9時間もの長丁場です。9時間も話せるのか、落語家じゃないんだぞ、自分。

 

 

朝、専門学校に着いた僕はひとまず職員室に行って先生たちにご挨拶をしに行きました。

 

 

僕:「失礼します!おはようございます!本日はどうぞよろしくお願いします!」

先生:「おはようございます!こちらこそどうぞよろしくお願いします!」

 

 

いよいよ始まるデビュー戦。ぞろぞろと生徒さんたちも登校し始めてきた様子を遠目で眺めていると吐き気のひとつも感じました。そして、生徒さんたちが厳しい審査員にも見えました。まるでM-1グランプリ決勝戦。先生、しっかりしろよ、大人だろ笑。

 

 

そして、授業開始の時間。担任の先生が僕のことを紹介する流れからのスタートでした。

 

 

先生:「ではですね、今日は現役バーテンダーの先生が特別に来てくださってますのでさっそく紹介したいと思います!バーテンダー歴8年(9年だったかな、忘れちゃった)の西舘さんです!どうぞ!」

生徒さん:「(パチパチパチ!)」

僕:「(キター!(*´▽`*)人生の中でこんなに人の視線を集めたことなんてないぞ!人生のピークじゃね?)」

 

 

見渡す限り、人の群れ。群れって失礼な言い方ですけど、ほんとに群れに見えたんです。30人以上はいたと思います。よし、もう後には引けない、やるしかない。いっちょかましますか。

 

 

僕:「初めまして!西舘と申します!ススキノのバーで店長として働いています!2日間という短い時間ではありますが、どうぞよろしくお願いします!」

生徒さん:「(パチパチパチ!)」

 

 

とりあえずの簡単な挨拶はうまくいった模様。生徒さんたちはみんな優しいタイプの子ばかりなのかも、だったら全力で喋り倒しても大丈夫かも、よし、がんばろ。って気持ちが前を向き始めた僕はここから流暢なトークで授業を淡々と進めていきました。

 

 

授業の内容は手元にまとめてあります。それを見ながらテンポよく話していけばいいだけだ。そんな難しいことなんてない。ですが、僕は授業を開始して1時間くらいが経った頃に思ったわけです。

 

 

僕:「(お!緊張しすぎて授業のピッチが速いぞ!このままのペースで話してしまうとあと30分で終わってしまう!どうする自分・・・)」

 

 

もともと早口な方の僕が「緊張」というリュックを背負った時、それは早口に磨きがかかることを意味していました。マラソンだったら20キロ地点でバテバテなくらい。アドリブで話す?うん、そうするしかない、いや、その前に話すペースをもう少しだけ落とすか。緊張ってやつは意地悪だ。あとでお仕置きせねばならぬ。

 

 

話すペースを少しだけ落とした僕でしたが、実際のところたいして変わらないペースだったのは間違いない。早口でまくしたてるお笑い芸人が急に戦場カメラマンさんみたいな話し方には到底なれないのと一緒。そして、1時間半が経った頃には手元にあった授業内容のすべてを話し切ってしまったんです。お仕事早いね、僕、一般企業だったらべた褒めされますよ。でも今いる場所は一般企業のオフィスじゃない。とりあえず一言生徒さんに伝えなきゃ。

 

 

僕:「はい、ということで一旦休憩を挟みましょう!」

 

 

「一旦CMでーす!」的なノリで休憩を挟みました。もう一度授業内容を作成しなければいけなくなったので。休憩時間は10分。まとめ上げることができるのか自分。なんてひとりでせかせかしてる時に前列に座っていた女の子が僕に話しかけてくれました。

 

 

女の子:「先生って札幌の人ですか?」

僕:「あ、はい、生まれも育ちも札幌ですよ!札幌の人ですか?」

女の子:「はい!札幌出身です!音楽とか聴くんですか?」

僕:「聴きますよ!ヴィジュアル系が好きです!」

女の子:「えーっ!!私もヴィジュアル系大好きなんです!好きなバンドなんですか!?」

僕:「そうですね、いっぱいいますけど、ジャンヌダルクとか聴いてましたね!」

女の子:「え!!私も大好きなんです!ジャンヌダルク!」

僕:「ほんとですか!?奇遇ですね!」

・・・

 

 

BAR屋の性でしょうか、話しかけられるとすぐに盛り上がってしまうのは笑。そしてまさかの趣味ドンピシャで同じ子と知り合えるなんて奇跡。てか、その人懐っこさは犯罪だぞ、好きになってもいいですか。

 

 

意気投合してしまった女の子のおかげで心の中の緊張がほぼほぼ溶け切った僕は、授業後半の内容を再構築する間がなかったにもかかわらず、あれこれ流暢に話を進めていきました。メンタルの重要性に改めて気付いた時でした。あの女の子元気かな、どこかで再会したら焼き肉ごちそうさせてください。

 


午後の授業はとてもダサい話なんですけど、緊張を超える眠気との戦いでした。その理由もダサすぎて言いたくないんですけどお伝えしておきます。その理由とは、「普段食べないランチ時間にジンギスカン定食にがっついてしまったから」です。人間って習慣でできているので、慣れない時間に慣れない食事を取るとカラダが動かなくなるんだと知った一コマ。でも、美味しかったですよ、ごちそうさま、食堂のおばちゃん。

 

 

眠気がまとわりついた中での午後の授業。なんとかこんとか話を進め、でも午前の授業で話すペースが速すぎたせいで午後の授業の後半はまたしても「やば!あと1時間半もあるのに終わっちゃう!」みたいな状況に陥りました。ま、余談を挟みまくってなんとか凌いだんですけどね。たとえば、「リアルな現場で起こっている『バーあるある』」とか、「バーテンダーは本音では○○だと思っている」とかいう余談。こういう話は生徒さんの食いつきも良かったんです。みんな、知識に関する内容よりも「へぇー!」ってリアクションが出てたから面白かったのかも。経験値あざーす。

 

 


翌日の授業は、実際に僕がシェイカーを使ってノンアルコールのカクテルを作るという実戦形式にて進めていきました。生徒さんたちがいちばん見たかったのはきっとココなんだろうなと思ったので最終日まで取っておいた内容。そして、僕的にもいちばんの腕の見せ所。さ、実力を示す時だぞ、自分。

 

 

用意したのは、さまざまなジュースと果物。色んな味のシロップは学校側が用意してくださりました。パティシエやバリスタを育成する学校だけあって、かなりの種類のシロップがあったのはありがたい誤算。これだけあれば何でも作れる。あ、あと、アボカド用意しましたね、実際にお店で出したことないのに笑。ある意味「実験的」、ある意味「衝撃的」な内容にするための秘策。イメージできませんよね?アボカドのカクテルなんて。でもあるんですよ、本に載ってたんで笑。

 

 

で、僕が自由にカクテルを作ってるのをじーっと見てるのも生徒さんたちは途中で飽きるだろうなと思ったので、初めにいくつか魅せるところだけ魅せて「わ!すごい!」という印象を与えた後は生徒さんたちのむちゃぶりに答えて何でもカクテルにしちゃおうという企画をやってみました。

 

 

僕:「じゃあ、『こんな味のカクテルが飲みたーい!』って人がいたら何でも作ります!」

生徒さんたち:「ハイ!ハイ!ハイ!」

僕:「(ノリノリじゃん!よっしゃ!)じゃあ、奥のミドリ色のシャツの方!」

ミドリシャツ君:「桃味のカクテルが飲みたいです!」

僕:「かしこまりました!」

 

 

作戦は成功しました。「バー体験」は多くの生徒さんたちがしてみたかったんじゃないかと思って話を振ってみたんですけど、やっぱり予想は当たってたんです。みんなの手が挙がる挙がる、われながら良い企画でした。

 

 

とんとん拍子でいくつかのカクテルを作っていき、そのカクテルを生徒さんたちで回し飲みしてもらいました。リアクションは当然「美味しい!」の一択。実力発揮ってとこですかね、テヘヘ。

 

 

ただ、ひとつだけ大きなミスもしました。それはガラス製のシェイカーでカクテルを作った時のことでした。ノリノリでシェイクしてたら急につなぎ目が外れてしまってガラス製のシェイカーが生徒さんたちの方へ飛んで行ってしまったんです。

 

 

生徒さんたち:「キャー!!(;”∀”)」

 

 

運よく、誰にも当たらずに床に落下してきれたことが何よりの救いでした。ホントに焦りましたからね、ケガでもしたら笑えなかった。プロとして恥ずべき事件。みなさま、本当に申し訳ございませんでした。

 


授業後半のさいごの1時間は、僕から十代の生徒さんたちへの未来の話をしました。なんならココがいちばん得意な分野だったかもしれません。パティシエやバリスタになって輝いた人生にしてほしいと切に思っていた僕は、BAR屋を目指して街に出てきた僕の過去ネタも交えて熱弁をふるったんです。

 

 

僕:「これからたくさん勉強して、夢を叶えてください。人見知りがひどくて人の目を見て話すことさえできなかった僕が今こうしてみなさまの前に立って話す機会を手に入れることができたのが、『夢は叶う』ことの何よりの証拠です。いざ社会人になったらいろんなことが起こります。楽しいこともあれば辛いこともあります。僕だって悩みまくってバーテンダーをやめようかななんて思った時期だってあります。でも、続けていると必ず支援者が現れます。それはお金とかそういうことじゃなくて、背中を押してくれる存在だったり、笑顔になれる存在だったり。『神様は見てくれている』なんてことは言えないですけど、必ず誰かがみんなの頑張りを見てくれています。なので、精いっぱい悔いのないような人生を歩んでほしいです」

 

 

「なに偉ぶってんだ!」と人類総ツッコミを喰らいそうなことをベラベラ話せる自分に乾杯。でも、本心で思ってたことなので台本なんて一切なかったのにスラスラと言葉が繋がれていきました。「夢は叶う」、これはチャレンジした人にしか与えられない権利ですからね。チャレンジして良かった。

 


ってな感じで、怒涛の2日間が終りました。先生になってわかったことがいくつかありましたので、書いていきます。

 

 

・話すペース大事!

・事前準備は念入りに×念入りにすべき!

・声を掛けてくれる生徒さんはみんな愛しちゃう!

・寝てた生徒さんには「つまんなくてごめんなさい!」と伝えた上でなんか奢ります!

・ランチは午後のパフォーマンスをアホほど下げてくださる

・終わったあとの解放感は麻薬レベル

・経験したことをだれかに伝えることができる場のありがたさ

・まだまだ行けるぞ自分!淡々と人生という名の道を伸ばすべし!

 

 

 

次は必ずもっとわかりやすく、ユーモアを交えながら「BAR」という空間のすばらしさ、「BAR屋」の果てない魅力について発信することをここに誓います。

 

 

おわり。

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yuki_nicccy

札幌のピアノバー”STYLISH D”の店長。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。