[どこまでリアル!?]「バーテンダー」という曲の歌詞はどこまでリアルなのかを現役バーテンダーが紐解いてみた

BAR屋の恋愛事情

こんばんは(*^-^*)西舘です。

 

 

検索エンジンで、「バーテンダー 歌詞」というキーワードで調べたら「バーテンダー」という曲を発見してしまいました。

 

 

僕:「どれどれーじっくり読んでみようではないか(*´▽`*)」

 

 

ということで、さっそくですが、現役BAR屋で元作詞家の僕が(20代前半の頃によくSNSに書いてたんですよ、ポエムみたいの。恥ずかしすぎてお蔵入り笑)、「バーテンダー」という曲の歌詞はどこまでリアルなのかを現役バーテンダーが紐解いてみたいと思います。赤裸々なぶっちゃけトークで参りましょう。

 

 

あ、曲のご紹介がまだでした笑。曲は「ナチュラルハイ」さんという女性デュオの方々の曲です。記事の最後に曲の動画のリンクがありますので、お時間あればぜひ一度聴いてみるのも面白いですよ。

 

 

[どこまでリアル!?]「バーテンダー」という曲の歌詞はどこまでリアルなのかを現役バーテンダーが紐解いてみた

 

無口なあなた任せでオーダーしてみてもいい

→はい、喜んで!残念ながら僕は無口なタイプじゃないのですが笑。オーダーはバーテンダーに任せちゃえばいいんですよ、それがバーの醍醐味なんですから。居酒屋の店員さんに「店員さんのお任せで何か作ってもらっていいですか?」なんて言っても「え?」って返されるのがオチ。

あ、実際には無口なバーテンダーさんって多いと思います。バーテンダーというお仕事は「お客様のお話を聞くこと」が基本的なお仕事のスタンスなので。つまり、僕は基本ルールに沿っていない、すいません。

 

 

恋に破れ 仕事に追われ 泣いてる場合でもないから

→実際にいますね、この状況のお客様。だからバーに来てちょっとお酒の力を借りるんですよね。でも何が飲みたいかなんて考える頭は「失恋+多忙」の時にはないからバーテンダーにすべてを委ねる。お客様の人生に触れることができるお仕事「バーテンダー」、うん、ステキ。

大人って子供みたいに素直な感情に任せて泣くことがなんか許されない風潮があるじゃないですか。なんでなんですかね、泣きたいときは泣けばいいと思いますけどね。泣いてスッキリすると「どうでもいっか!」って気分がコロッと変わったりもするんで。

 

 

カウンター越しにちらり のぞく長い指が綺麗

今夜はどんな指使いで 酔わせてくれるつもりかしら?

→バーテンダーがスプーンを使う時や、ボトルを握ってる時の指先って綺麗です。繊細というか、妖艶というか。爪の切り方には注意していますし、わざとカッコよく見えるようにカクテルを作っていることだってあります。プロですから、どうも。

「僕の華麗な指先を見てたら、酔ってしまいますよ、きっとすぐ。お気をつけて。」

なんて言ってみたいですわ笑。

 

 

気取らないで 隠さないで 僕の千里眼に暴かれて

君は強い だけど壊れそうな心を抱えてるんでしょ

→ここはきっと男性バーテンダーのフレーズですね。「僕の千里眼」、長年バーテンダーとしてキャリアを積んだベテランだったら持ってるのかもしれませんね、たかが14年目の僕にはありません、千里眼。

千里眼は持っていない僕ですけど、「君は強い」はその通りです。だって、バーに来て誰かに話してるんですから、それだけで充分強いです。その裏では、ちょっと考えすぎたらどうかなっちゃいそうな気がするのも事実かと。なので、僕は一通り話を聞いたら絶対にお客様の背中をさするような言葉を選ぶようにしています。きっと背中を押されたいわけじゃないと思うんですよね、そっとさすってほしいっていうか、「そうだよね・・」みたいなテンションがメンタルがキツイ時ってありがたい。これはメンタル弱者故に経験済みなので間違いないです笑。

 

 

いっそ燃え尽きるような刺激的な味はいかが?

君を満たす鍵は 赤く染まる肌に浮き上がる

→刺激的、つまり「ちょっときつめのお酒」を提供することはあります。お客様もきっと酔いたくて来てくれてるはずなので、優しいお酒ばかりじゃ満たされないでしょうから。もちろん、お客様のお酒の強さを考慮した上でです。普段はカシオレ好きなお客様にウイスキーのロックなんかは当然出しません。ちょこっとお酒を強めにする程度です。お酒の強さを自由自在に操れるのがバーテンダーの特権。

ほっぺたが赤くなってくるお客様はなんだかかわいいです笑。少しだけおしゃべりになったり、トイレに行く回数が増えたり。幸せな時間をご提供できてるのかなとバーテンダー的に安心する場面でもあります。

 

 

やめて 今夜はそんな気分じゃない

→お酒が口に合わなかったんでしょうか、それとも、バーテンダーがちょっかいをかけてきたんでしょうか。どっちにしろ、全面的に謝罪です、すいません。

このような強めの口調で物言いしてくるお客様はほとんどいないですね。ほとんどって言ったのは、ひとりだけ近い感じのお客様がいるってことです笑。20代の女性なんですけど、ま、かわいいもんですよ、あまりに声が大きくなったり自由な言動が見えそうになったら「ダメでしょーいいから座って、あんまし言うこと聞かないと出禁にしちゃうぞ!」って僕がかわいく言えばおとなしくなるんで。店長という肩書の力、そして、積み重ねてきたお互いの信用のなせる業。

 

 

グラスに何注いだの? 胸がしめつけられるようよ

涙なんかあなたの前で流す理由は少しもない

→グラスに注いだものはもちろんご説明します。そして、「は?なにこれ?」ってお客様から言われるようではバーテンダー失格ですね、体力作りからやりなおーし。

ま、ちょっと濃い目のお酒を飲めば、その時の気持ちとリンクして胸がしめつけられる感覚を覚えることもあるでしょう。僕も昔、失意のどん底に突き落とされた経験がありますが、その時はバカみたいに強いお酒を飲んで撃沈してました。その結果、胸がしめつけられるとかそういうレベルじゃなくて、一周回って自分がみすぼらしく思えることさえありました。つまり、辛い状況の時に濃い目のお酒を飲むとネガティブキャンペーンが始めるんです。だから「涙なんかあなたの前で流す理由は少しもない」ってなるんじゃないかと。

てか、主人公の女性と男性バーテンダーの間にはもともと男女関係あり疑惑浮上!?

 

 


飾らないで だまさないで 僕のおせっかいに付き合って
君は強い だから今だけは心を緩めて欲しい

→「僕のおせっかい」ってなんだろ・・。恋に破れ、仕事に追われている女性にあれこれ言いたいんでしょうか。「もっとこうしたら?」とか「それはあなたにも非があるのでは?」的な。だとしたらぜんぜんダメですね、アウトー。女性の思うことには意見しないのが鉄則なんじゃないですかって感じです。「そうだよねー」「そうなんだ」で充分だと思います。少なくともバーで濃い目のお酒を飲みたい気分になっている女性には間違いなくそうするべきです。バーテンダー自身の意見はお客様から問われたときにだけ言えばいいですよ、しゃしゃり出て意見を言うなんてご法度もいいところです。

「今だけは心を緩めて欲しい」は、とても共感フレーズです。バーテンダーって根っからのギブ精神があって、人から感謝されることにものすごく飢えています。なので、せめて自分のバーにいる時間だけでも息を抜くことができたり、癒されたりするのであればもうそれだけでいいんです。差し入れ?そんなもの要りませんよ。「美味しかった」「ゆっくりできた」って言葉だけで嬉しいんで。

ま、いただいた差し入れはありがたくいただきますけどね笑。

 

 

いっそ操られたら 痛みに鈍くなるかしら?

あなたの偽善ぶりが やけにこの体を湿らせる

→女性がやけになっている感じなんですかね。偽善に思えちゃうんですもんね、バーテンダーさんの言動が。ですが、「体を湿らせる」というフレーズには「羽目を外してもいいかな」みたいな心情も見えます。

女性のお客様が男性バーテンダーと羽目を外すような関係になることは案外簡単だったりします。羽目を外したことがきっかけだったかはわかりませんが、実際に女性のお客様と結婚している男性バーテンダーを僕は何人も知っていますし、風の噂であれこれ耳に入ってくることもあります。ふたりでいる場を偶然見てしまったこともあります。そこはあくまで男女なんですかね、誰か僕にも声を掛けてくださりませんか笑。

関連記事:バーで一人で飲んでいる女性をバーテンダーはどう見ている?

 

 

きっと今夜は後戻りできない

→つまり、「帰りたくない」ってことなんですかね。それか「酔いつぶれてやる!」ってことなのか・・。

「帰りたくない」と思ってしまうお客様はけっこう多いです。お酒の場ですし、嫌なことがあったならなおさら帰りたくもないでしょうし。そして、このフレーズが対バーテンダーに向けられているのであるとすれば、それはもう既にふたりの間には何かしらの関係があるか、どちらかからアプローチを仕掛けた過去があるかの二択。

 

 

気取らないで 隠さないで

君は強いけど…わかっているの

僕に委ねて…変な気分ね

火照るカラダ どうすればいい? 心が弾けそうなの ねぇ

→女性と男性バーテンダーの心の声のやり取りですね。目を見ながら話してるうちにお互いの気持ちが合致したようです。ちなみに、こんなやり取りというか、営業中にお客様とバーテンダーが男女の香りを漂わせることなんてまずないです

ですが、お酒の勢いは止められないんですよね、僕も酔っぱらったらなぜかコンビニで雑誌を買う癖があるのでよくわかります。しかも毎回グルメ系か健康系の雑誌、意識高いのか低いのかほんと謎笑。

 

 

きっと今夜は後戻りはできない

今夜はもう帰りたくない

→最後のフレーズです。女性のお客様に「帰りたくない!」と言われたことは何度もあります。ですが、それは「男女の関係になろう!」みたいな意味じゃなくて、「飲み足りないからどっか行こう!」とか「始発まで時間あるしカラオケ行こう!」みたいなノリの「帰りたくない!」です

ま、楽しいから結局のところそのままどっかに行ってしまうのが僕なんですけどね笑。

 

 

まとめ

[どこまでリアル!?]「バーテンダー」という曲の歌詞はどこまでリアルなのかを現役バーテンダーが紐解いてみました。

 

 

歌詞の内容を要約すると、

 

 

失恋した女性が、行きつけのバーで男性のバーテンダーに話をしに来た。そして、酔いたい気分だったので濃い目のお酒を出してもらったら、体が火照ってきて変な気持ちになっていった。

男性バーテンダーも女性のことを気にかけている。そして、すべてを自分に委ねればいいのにと思っている。

結果、女性は帰りたくない気持ちになって、男性バーテンダーとその後・・・

 

 

みたいな感じです。で、結論から言いますと、「こんなシチュエーションなんてリアルなバーではまずない!」です。女性のお客様が男性バーテンダーを男性として見ている確率なんて微々たるものです。単純にその場が楽しくて、居心地がよくて、お酒が美味しくて来てくださってるわけですよ。ホストクラブとは違います。

 

 

そして、男性バーテンダーが女性のお客様のことを女性として見ることも基本的にはないです。もちろん「ステキな方だな・・連絡先知りたいな・・」って思うことは多々ありますよ笑。ですが、そんな気軽に連絡先を聞くことなんてなかなかできないです。気に入って通ってくれるようになったらLINE交換くらいはしますけど、そこから男女の関係になることなんてほとんどないです。ま、ほとんどないってだけで、まったくないかと言えばそれは嘘になるんですけどね。女性のお客様とお付き合いをしたこともありますから。なので、この曲の歌詞も厳密にはリアルではあります。ですが、まずもってないと言っても過言ではないくらい日常的に行われているバーの風景とは一線を画します。

 

 

おわり。

 

※Youtubeでカバーしている方がいました。めちゃくちゃいい曲でした。リンク張っておきますね。

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yuki_nicccy

札幌の「BAR PENCIL VANI;LLA」代表。 1985年生まれ。21歳の冬にBAR屋の職に就き、現在まで延べ10万人以上のお客様と接する。 趣味は「楽しくお酒を飲みながらさまざまな人と話すこと」「読書」「カフェで引きこもること」「北海道コンサドーレ札幌の応援」。