こんばんは(*^-^*)西舘です。
仕事にはトラブルが付きまとっています。みなさまも何かしらの経験がおありなのではないでしょうか。
たとえば、
・取引先への連絡が行き届いていなくて、こっぴどく叱られた
・クレーマーに遭遇して罵声を浴びた
・無断キャンセルのおかげで大赤字を出してしまった
などなど。
トラブルはメンタルに響きます。仕事が嫌になったり、怖くなったりすることも時としてあります。
そして、「BAR屋(訳:バーテンダー)」として15年目を迎えた僕も、数々のトラブルを経験してきました。思い出すだけで今でも手が震えるようなトラブルもありました。
今回は、いままでの人生の中でトップクラスに身震いして冷静さを欠いてしまった『思い出したくない「お客様のマフラー&コート紛失事件」』についてお話させていただきます。
飲食店では起こりうるトラブルの典型例みたいなお話なんですけど、実際に起こった時は本当に頭が真っ白になったといいますか、一瞬で病みそうになった経験談です。いまでも鮮明に覚えているので、ドキドキ感をどうぞご共有ください。では!
思い出したくない「お客様のマフラー&コート紛失事件」
①お客様のマフラー紛失事件
とある年末さいごの営業日。お店はおかげさまで超満員。止まらないオーダー。鳴りやまない空席確認の電話。そして、メンバーのテンション最高潮。
年末最終日にふさわしい賑わいを見せていました。「一年がんばってきた結果だな・・・」なんて、騒がしい店内でひとり思う瞬間さえ心躍る、そんな楽しい時間に・・・
お客様:「俺のマフラーないんだけど!!」
出入り口近くで声を荒げている男性。預けていたマフラーがないとのことでした。とりあえず店長である僕が対応に伺いました。
僕:「申し訳ございません。もう一度確認させていただきますので」
お客様:「早く持って来いよ!!」
めちゃくちゃ怒ってる・・・。
何はともあれ、僕は直接自分の目で確かめるためにクロークに行ってマフラーがないかどうか確認をしました。見るところ、マフラーはありません。ハンガーから落ちたのではないかと思って床もまんべんなく探したのですが見当たりません。
これ、紛失??
それとも、お客様が預けたと勘違いしてる??
はたまた、まさかの渡し間違え??
どちらにしても、いまお店にお客様のマフラーは見当たらないので、その事実をお客様にお伝えしました。
僕:「申し訳ございません。お客様のマフラーが見当たらなくてですね・・・」
お客様:「は?預けたから!!早く持って来いよ!!」
僕:「はい、ですが、クロークを探したのですがマフラーらしきものがなくて・・・」
お客様:「ふざけんなよ!!」
お客様が怒るのも当然です。完全にお店側の過失なので。
ですが、本当にお客様がお店に預けたかどうかという問題も実はありました。よくあるんですよね、「○○がない!!」と言われたあとに、お連れ様が「最初からなかったよ!」「きょう付けてきてないよ!」みたいな話になることが。お店側が必死に探してもそりゃないわけですよ、最初から預かってないんですもん笑。ま、お酒を飲むと何をどうしてきたか忘れちゃうこともあります、あるあるです。
ただ、僕たちは「この団体様は、何着コートを預かり、何着マフラーを預かりました」みたいな情報をイチイチまとめていなかったせいで、お客様が「預けた!」と言えば「預かった」ことになります。つまり、お店側が「預かっていない」という証拠を提示できないとお店側が「紛失した」ことになるんです。
僕:「申し訳ございません。お店には見当たらないので、よろしければご連絡先を頂戴できますでしょうか?もしかしたら他のお客様に渡し間違えてしまった可能性もありますので・・・」
お客様:「は?そんな話あるかよ!!いいから今すぐ持ってこいよ!!」
僕:「申し訳ございません。お店には見当たりませんでしたので・・・」
お客様:「どうなってんだよ!!ふざけんなよ!!」
完全に戦闘モードのお客様。
お客様の怒りの声により、冷静な判断力を失った店長の僕。
このあと、僕はひたすらにお客様に謝罪と現在の状況を説明し続けました。紛失した場合は弁償させていただくお話は「大切な貰い物なんだよ!弁償とかじゃねぇんだよ!!」と一蹴され、ご一緒にいらっしゃってたお客様たちからは冷ややかな目線がずっと送られていました。
粘り強い謝罪を続け、なんとか連絡先を教えていただき、その場は収束しました。何時間かかったのでしょうか、記憶がありません。長い時間を要したことだけは確かです。
その後3日間、マフラーがまだ見つかっていない旨をお客様へ連絡。3日目には遂に「もういいわ!!」と電話を切られて終わりました。
マフラー紛失事件は12月30日に起こりました。
その夜はメンバー全員での打ち上げでしたが、僕一人ひとつもテンションを上げることはできませんでした。
大晦日も元旦も、お客様へ現状の報告のために電話をし、怒られ続けました。
翌年、マフラーの預かり方を変更したところ、今現在までに紛失事件は起こっていません。
②お客様のコート紛失事件
とある平日。お店はそこそこの賑わいを見せていました。カウンターには常連様、テーブル席には新規のお客様が何組かいらっしゃっていて、僕も楽しい夜を過ごしていました。
一組のお客様がやや酔っぱらいながらお会計を終え、店内中央部にあったポールにかけてあったコートを羽織ってお帰りになった数十分後、二人組のスーツを着たお客様もお会計を済ませてお店を出ようとした時に事件はすでに始まっていました。
お客様:「あの、預けたコートがないんだけど貰えるかな?」
後輩がお客様にそう告げられると、後輩は店内中央部にあるポールを眺めながら僕に近づいてきました。
後輩:「西舘さん、あちらのお客様のコートがないとのことだったのですが・・・」
僕:「え?そこのポールに掛けてあったよね?」
後輩:「はい、でもそれがないんですって!!」
僕:「まじ??」
でも、店内中央部のポールにはたしかにコートが今も掛けてあります。なのに「預けたコート、貰えるかな?」というお客様の声。これはどういうことかと頭をフル回転させたとき、ひとつの説が浮かび上がりました。
僕:「(もしかして、さっきのお客様が間違って羽織って帰った!?)」
店内にいるお客様の人数。
コートの数。
間違いない、数は合っている。
なのにコートがないとおっしゃるお客様。
あ、これ、事件発生だ。
その事実に気付いた時、僕の心臓はジェットコースターもビックリするくらいの急降下と急上昇を繰り返しました。血の気も引きました。
紛失。
僕:「あの、別のお客様が間違って着て帰ってしまった可能性があります・・・」
お客様:「え?それは困るわ!!」
僕:「申し訳ございません」
お客様:「どうしてくれんの?」
僕:「申し訳ございません。ご連絡先をいただけますか?間違って着て帰ったお客様から連絡が来るかもしれないので・・・」
お客様:「それで大丈夫なの?てかこんな寒い夜にどうやってコートなしで帰ればいいの?」
僕:「そうですよね、帰りまでの交通費をお渡しさせていただきますので・・・」
お客様:「いやいや、てか、コートに鍵が入ってるんだよね、家の。あした仙台に帰るんだけど、仙台の家に入れないから困るんだわ!!」
僕:「せ、仙台ですか!?」
まさかの出張でいらっしゃってたお客様のコートが紛失するという事件。
明日の昼すぎには飛行機に乗って仙台へ帰るとのこと。
やばすぎる・・・。
コートだけでも大問題なのにまさかの貴重品まで・・・。
しかも明日の午前中には解決しなければいけない問題。
唯一の救いは、店内のお客様のものじゃないコートが一着ポールにかかっているという事実。
確実にさっきのお客様が酔っぱらって別のお客様のコートを羽織って帰ったに違いない。
それでも、仙台からいらっしゃったお客様の怒りは当然収まるわけもありません。
お客様:「とりあえず今日は帰るけど、明日必ず返してね、コート」
僕:「申し訳ございません。必ずご連絡差し上げますので」
お客様:「いや、連絡っていうかコート返してね!!」
最悪の状況を考えると手が震えました。もし間違って着て帰ったであろうお客様から連絡がなかったとしたら・・・
タイムリミットは明日の午前中まで。
その日の営業終了後、僕と後輩はお店に泊まりました。鳴るかどうかわからないお客様からの電話を待つために。
もし間違って着て帰ったお客様が自分のものじゃないコートに気付くとしたら朝。
でも、もし自分のコートよりも高価なコートを間違って着て帰ったとしたら、最悪そのまま連絡なしで自分のものにしてしまう可能性だってあります。
賭けでした。
信じるしかない。
僕と後輩は1時間ごとに交代しながら仮眠を繰り返しました。当然おたがい眠れるわけもなく、ただソファーの上で不安と一緒に寝転がるだけ。
午前5時。まだ電話は鳴らない。
午前6時。まだ電話は鳴らない。
午前7時。まだ電話は鳴らない。
後輩:「来ませんね、電話・・・」
僕:「もうちょっと待ってみよう」
午前8時。やはり鳴らない電話。
どうやって仙台のお客様に説明しようかとリアルに考え始める僕。どう説明したって解決なんてしないことはわかっていながらも、どうにかこの状況を切り抜ける方法を酸素が回っていない脳で考えました。もちろん何も浮かびませんでしたけど。
そして、午前8時30分をちょっとすぎた頃。
トゥルルル、トゥルルル。
僕:「お電話ありがとうございます!○○バーの西舘です!」
電話先の人:「あの、昨日お店に行ったものなのですが、違う人のコートを着て帰ってしまったんですけど・・・」
僕:「お電話お待ちしてましたぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」
最高のシナリオ。
コートが見つかった。
違うコートを着て帰ってしまったお客様が住んでいる場所を伺い、僕と後輩は店内に残っていた一着のコートを片手にすぐにお店を飛びだして地下鉄に乗りました。
30分後。そのお客様と合流。二着のコートの確認を終え、無事に仙台からいらっしゃっていたお客様のコートを取り戻すことに成功しました。
すぐに仙台からいらっしゃっていたお客様へ、「昨夜来ていただいたバーの店長の西舘です!コート、無事見つかりましたのですぐにお渡しに伺います!!」と電話。「よかったです!」と電話口のお客様。
受け渡しが完了した瞬間、一睡もできなかった僕と後輩は元気を取り戻しハイタッチをして、そのま24時間営業のココイチにカレーを食べに行きました笑。
この事件以降、仙台からいらっしゃったお客様は出張の度にお店に顔を出してくれるようになりました。トラブルの代償はステキなお客様との出会いになったんです。ホント奇跡。
そして、すべてのコートはクロークにてお預かりをするシステムへ変更することにしました。二度とこのような事件が起こらないように・・・。
まとめ
思い出したくない「お客様のマフラー&コート紛失事件」についてお話させていただきました。
トラブルは付き物です。こればかりは仕方ありません。ですが、いちばん大切なことは「一度起こったトラブルを繰り返さないように改善すること」です。
幾多のトラブルを経験してきた僕は、今でも冬になるとビクビクしています。「もしまた同じ事件が起こったとしたら・・・」なんて想像すると今でも手が震えます。結果、預かっているものの受け渡しに関してはかなりシビアに、そして慎重になったんです。
失敗は成功のもと。
おわり。
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yuki_nicccy
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